こんにちは。
今回のエントリも野球です。
今シーズンから始まったコリジョン(衝突)ルールですが、色々判定が覆ったりしたことで混乱を招き、7月22日から新しい運用基準が始まっています。その新コリジョンでも早くも物議を醸し出す場面があったので、私も新コリジョンに関してモノ申す感じで書きます。
確認。新コリジョンと旧コリジョンの違い
新コリジョンと旧コリジョンの違いを完結にまとめると、
- 旧コリジョンは捕手が走路に入った時点でコリジョン適用となる走者優先のルール。
- 新コリジョンは、タックルやブロックなどの衝突を重視してコリジョンかどうかを確認、送球がそれた場合など捕手がやむを得ず走路に入った場合はコリジョン適用しないというルール。
という具合です。
問題のプレー
物議を醸したプレーは7月31日の楽天対ロッテ戦。楽天の捕手・嶋と、ロッテの走者・岡田のクロスプレーが問題となっています。
このプレーが検証の結果、送球がそれたため仕方なく走路に入り、その流れでブロックになったという判断。つまり判定はアウトのまま。
動画を見ると送球がそれたかどうかという点を差し置いても、捕球後に左足でブロックしにいっているように見えます。元ロッテの捕手、里崎智也選手もこのプレーに関して、「嶋の動作がセーフなら、もはやなんでもありに見える。」と言っています。
一応結果的にブロックになったという事実から、嶋には警告がなされていますが、この警告は今シーズンからのコリジョンルールとして、
- 捕手は3回の警告で退場
- 走者は2回の警告で退場
というルールに基づくもの。逆に考えると、捕手は2回までブロックしてよい、走者は1回はタックルしてよいという風にも思えます。
そもそもこのコリジョンルールが何故制定されたかを考えると、2013年にマット・マートンが危険なタックルをしたのが発端で、コリジョンルールはクロスプレーにおける選手の怪我を防ぐ目的があります。それがブロック2回までOKとかタックルは1回までOKとかになるのは本末転倒であり、コリジョンルールの趣旨がおかしくなっているように思えます。
つまり、私が言いたいことは、
もし今、マートンが日本球界にいて新コリジョンで運用したとして、クロスプレーにおける危険なタックルをしないと思いますか?
ということ。まず間違いなく1回はOKなんだからという思想のもとでタックルが行われると思います。
マートンのタックル行為は野球規則に基いて走路の優先権を主張し、その走路が守備者によってボールが来る前から妨害されているため、タックルをしてどかす以外に無いという論法でタックルをしているということです。
相手に怪我をさせたいわけではないが打者として得点したいので、ホームベースが空いていない場合はタックルもやむをえない。この考えの人は落合博満選手など多くいるため、新コリジョンルールがこれならクロスプレーでの衝突は無くならないように思えます。
余談:関係ないけどマートンは大好きです。
誤解のないようにしておきますが私はマートン大好きです。観に行った試合でホームランを打ったり、ストライクの判定に怒ってホームベースにバットで線を引いて抗議して退場になったり、サヨナラパスボールの時に打者だったり、観戦した時に不思議とマートンに何かが起こるため、マートンの大ファンです。
抗議して退場になる闘志剥き出しの冷静になれない感じと、フィールド外ではジョージア工科大学出身で広島の広島の平和記念式典に参列しているなど教養溢れる2面性もまたマートンの魅力だと思っています。
阪神退団後はオリックスに来るとか来ないとか噂されてものすごい期待していたんですが…。というか今も期待しています。オリックス来て欲しい…。絶対打つよマートンは。
新コリジョンは審判の判断がおかしいのでは?
話を戻します。新コリジョンルールの制定内容自体はMLBと似たような感じになっており、そういった意味では今回の審判の判断がおかしいと考えることもできます。
MLBのコリジョンなら今回のケースはおそらくセーフ
推測が多くなりますが、MLBのコリジョンと当てはめると、今回の例はおそらく走者のセーフとなるはずです。今回走者がアウトになったのは、タイミング的に完全にアウトだから日本の審判団はアウトと判断し、捕手に警告を適用にしたようにも思えます。
しかしMLBの解釈では、捕手のブロック動作が認められた時点で走者はタイミングに関係なくセーフとなるため、その対応として捕手は走路を空けてホームベースの前めでボールを取るようになっているのです。
MLBの例。
アウトの例、セーフの例が出てきます。特に1:33当たりからの解釈がコリジョンをこの上無く説明してくれていると思います。
Wednesday(左)の方がコリジョン適用で走者セーフ。右のTuesday(右)は捕球動作後にタッチが間に合いそのままアウト。
どうでしょうか?
上記の判断なら、MLBのコリジョンは個人的に納得できるルールと感じます。
送球が逸れたという判断について
MLBでも送球が逸れたことによって走路に入ってしまった場合は、コリジョンとならない場面があります。
具体的なケースがこちら。このケースでは送球が逸れたと判断、コリジョン適用とならずアウトのままです。私の推測ですが、送球が逸れたという判断は、捕手はちゃんとベースの前めに立って走路を捕球ギリギリまで空けていたことで認められたと思います。
カメラの望遠の圧縮効果で解りづらいですが、捕手は完全にベースと走路を空けて待っています。やはり動画で見てもらえればわかると思います。
もう一度問題の場面
どうでしょうか?MLBではコリジョン適用(Wednesdayに似た)ケースに思えます。
捕手はベースの前や後ろで捕球動作をしようとしておらず、送球がそれたという判断はなおさらおかしいと感じます。MLBの捕手はベースの前で捕球することによってコリジョンを守り、衝突を回避しようという意思を見せる行為でもあります。それがベース上で待ち構えて捕球、あわよくば送球がそれたと思ってもらえてブロック…なんてのはコリジョンで選手の怪我を抑止しようという行為から離れた行為だと私は感じます。もっというと捕手の衝突回避動作が見られない分Wednesdayのケースより酷いと思います。
以上から私の見解は、コリジョン適用で走者セーフです。捕手の動作に衝突を回避しようという意思が見られず最初からブロックしているように見え、送球が逸れたと判断するのは難しいからです。
というか、このケースをコリジョン適用で走者セーフにせずして何が選手を怪我から守れるのか甚だ疑問です。
まとめ
今さら言うまでもなく、MLBのコリジョンは選手を怪我から守るためにルール化されたものです。そのため捕手のブロック動作は走者のタイミングに関係なくコリジョン適用となり、それこそが衝突を防ぐ論理的なルールであるはずです。
しかし今回の判断がNPBの新コリジョンとするなら、上述の通りクロスプレーでの衝突が無くなるとは思えません。選手を怪我から守るという趣旨なら、旧コリジョンの走路に入った時点でコリジョン適用の方がまだ趣旨通りのルールだと思います。
このまま新コリジョンで運用して、捕手2回までブロックOK、走者1回までタックルOKと考えた衝突行為が起きないことを祈るばかりです。というか新コリジョンは内容自体はMLBのルールに近づいたのだから、世界大会も視野に入れてMLBに近い判断をして欲しいと思った次第です。
ではでは。